X-T1 写真工場

写真の撮り方とミラーレス一眼の使い方がわかるブログ

晴れた日に大活躍する撮影テクニック「日中シンクロ」のやり方

日中シンクロとは?

日中シンクロとは、自然光とストロボの光をミックスさせる撮影テクニックのことで、屋外でのモデル撮影や集合写真の撮影でよく使われます。

おそらく、みなさんも学校や観光地での集合写真の撮影で、一度は経験しているではないでしょうか?

日中シンクロを使う理由は?

おもに、逆光の時に被写体が黒く潰れてしまうのを防いだり、半逆光の時に目立ってしまう影(人物の場合は髪や鼻や顎の影が目立ちやすい)を消したり目立たなくするために使います。

逆光時の被写体の黒潰れは「露出補正」でも防いだり軽減することができますが、露出補正は背景の明るさも一緒に変化してしまうので、被写体と背景の明暗の差が大きいと背景が白飛びしやすくなります。

日中シンクロのやり方は?

基本的には、カメラに内蔵されているストロボや、外付けのストロボを強制的に発光させるだけですが、ただし、カメラやストロボまかせにすると明暗のバランスが不自然な写真になることがあるので、その場合は光量(光の強さ)を調節してバランスを取ります。

~ 光量の調整方法 ~

光量(光の強さ)はカメラ本体やストロボ本体の光量調節機能で調節します。X-T1は、同梱されている小型フラッシュだけでなく、対応する別メーカーの外付けストロボもX-T1本体からコントロールすることができます。

管理人はNissin Digital(ニッシンデジタル)の「i60A」を使っています。この i60A にはTTLモードのほかマニュアルモードもあるので、光量をより自由に細かく調整することができます。

ちなみに、このフラッシュ「i60A」は、富士フィルムの純正ストロボ「クリップオンフラッシュ EF-60」のOEM製品になっているようです。

光量の調節ができないストロボの場合は、発光部のすぐ前に光を透過する半透明のもの(半透明のビニール袋や白い布)をかざして光量を調節します。

作例サンプル

野外の樹木で日中シンクロのテスト撮影をしました。撮影機材は以下の通りです。

  • カメラ:富士フィルム X-T1
  • レンズ:フジノン XF35mmF1.4 R
  • ストロボ:クリップオンフラッシュ EF-X8
  • 三脚:マンフロット製

杉の木(半逆光)

天気は晴れ。杉の木の右斜め奥から太陽の木漏れ日が差し込んでいるためコントラストが高くなりやすい状況です。

ストロボ発光なし

コントラストが高く見た目よりも暗部がかなり暗くなっていますが、木の質感を強く表現するなら、このくらいのメリハリがあっても良いかもしれません。

ストロボ発光(弱)

暗部が少し明るくなってほぼ真っ暗だった部分のディティール(詳細)がわかるようになりました。これが一番見た目に近い明暗のバランスです。

暗部が明るくなっても、木の後ろに見える背景の明るさがほとんど変わっていない点に注目してください。

ストロボ発光(中)

さらに暗部が明るくなって木の表面がよくわかるようになりました。全体的にメリハリがなく少しのっぺりとしています。失敗ではありませんが、少しつまらない写真になりました。ただ、暗部もしっかり見せなければならない場合は、このくらいのバランスが適当でしょう。

ストロボ発光(強)

ストロボ発光なしの写真と比べると、明らかにストロボの光が強く不自然だと感じますが、不思議なことに見慣れてくるとそれほど不自然ではなくなります。

横たわる枯れ木(半逆光)

杉の木と同じ場所で撮影したものです。正面奥からの半逆光で、枯れ木の下側がかなり暗い状態です。日中シンクロで枯れ木の下を明るくします。

ストロボ発光なし

杉の木と同じ明暗のメリハリがあります。暗部が暗い方が立体感が出るので、立体感を重視するなら暗部をあまり明るくしない方が良いでしょう。

ストロボ発光(弱)

暗部が少し見えてきました。背景にも少し光があたって微妙に明るくなっています。見た目に近い明暗のバランスです。暗部が明るくなって立体感が少し弱くなりましたが、不自然さはありません。

ストロボ発光(強)

暗部がさらに明るくなりました。ここまで光が強くなると枯れ木が少し白っぽく浮いて感じます。それほど不自然ではありませんが、枯れ木の立体感は不足気味です。

備考・その他

いかがでしたでしょうか?

暗部を明るくするのはソフトウェアでも可能ですが、真っ黒に潰れそうになってしまった部分を無理に明るくすると、ノイズが目立ったり正確な色が再現されなくなることがあるので、やはり、日中シンクロやレフ版を使って撮影時にある程度でも明るくしておいた方が無難です。

END