「ボケ」とは?
ボケとは、ピントが合った部分の前後にできる象の「にじみ」のことで、超広角レンズから超望遠レンズまで、すべてのレンズで発生する現象です。
このボケを使いこなすには多少の知識が必要ですが、上手に利用すると写真に立体感や臨場感が出てくるため、写真がより魅力的になるだけでなく撮影する楽しさも倍増します。
作例:絞り開放(F4)で紅葉を撮影
撮影データ:X-T1+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(F4,1/200,ISO400,55mm)
なぜ写真にボケが必要?
なぜ写真にボケが必要なのかというと、おもに主役となる被写体を前景や背景から浮き立たせるためと、疑似的な立体感と臨場感を出すためです。
その他には写真をイメージにするため、写したくないものを隠すため、個人情報やプライバシーを保護するためなどに使用します。
- 主役を浮き立たせる
- 立体感と臨場感を出す
- イメージにする
- 写したくないものを隠す
- 個人情報やプライバシーの保護
被写界深度を知っておこう
被写界深度とは、ピント位置の前後にあるピントが合っているように見える範囲のことです。
被写界深度は絞りを閉じてF値が大きくなるほど、また、レンズが広角になるほど(焦点距離が短くなるほど)広くなってボケが小さくなります。
また、被写界深度はピント位置の手前よりも奥の方が範囲が広くなるという特徴があるので、これも覚えておくと良いでしょう。
作例:開放F2.4で撮影、左手前のヒンジにピントを合わせてある
作例:F5.6で撮影、被写界深度が広がりボケが小さくなった
作例:F16で撮影、被写界深度がさらに広がりメガネ全体にピントが合った
※上の3つの作例はいずれもX-T1+XF60mmF2.4 R Macroで撮影したものです。
きれいなボケを作るには?
ボケにはきれいなボケと汚いボケがあります。
きれいなボケは溶けるように滑らかでやわらかい印象で、汚いボケは何となく濁っていて硬い印象があります。
作例:草原の花に止まるシジミチョウ
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F8,1/250,ISO200,230mm)
簡単にボケをきれいにしたいなら「円形絞り」を採用しているレンズを使うことです。
円形絞りというのは、閉じた時の絞りの形が多角形ではなく「円」になるように設計された絞り機構のことです。
この円形絞りを採用したレンズを使用すると、どの絞り値でもボケが丸くやわらかな印象になります。
なお、レンズの絞りが多角形だとしても、絞りを開放にして撮影すれば絞りの影響を受けないのでボケは丸くなるので、どうしてもボケをきれいにしたい時は開放で撮影しましょう。
その他、各メーカーには口径食を排除してボケ味(ボケ感)のきれいさにこだわった特別なレンズがあるので、その特別レンズを使うとさらにボケがきれいになります。
ボケ過ぎに注意
いくらボケがきれいでもボケを大きくし過ぎると、ピントの合っていない部分がすべてボケてしまい、何が写っているのか良くわからない不気味な写真になってしまうので、ぼかし過ぎにはくれぐれも注意して、アップで撮る場合は必ずある程度絞り込みましょう。
作例:開放F1.4で撮影したボケ過ぎの例、接写する場合は絞り込む必要がある
データ:X-T1+XF35mmF1.4 R(F1.4,1/3500,ISO200,35mm)
~ ボケのコントロール方法 ~
①絞りでコントロールする
ボケは、基本的にレンズの「絞り」と呼ばれる機能でコントロールします。
絞りはレンズ本体の絞りリングか、カメラ本体のダイヤルのどちらかで操作できるようになっています。
そして、どんなレンズでも絞りを開けてF値を小さくすればボケは大きくなり、逆に、絞りを閉じてF値を大きくすればボケは小さくなるように設計されています。
②ピントでコントロールする
ボケにはピントの位置が手前になるほど(アップで撮影するほど)大きくなり、ピントの位置が奥になるほど小さくなるという特徴があります。この特徴を利用すればボケをコントロールすることができます。
作例:ボケにくい広角18mmでも絞りを開けてアップで撮れば背景がよくボケる
データ:X-T1+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(F4,1/850,ISO400,18mm)
③レンズでコントロールする
基本的なボケの大きさはレンズの絞り値(F値)で決まりますが、ボケの見え方はレンズの焦点距離でコントロールすることができます。
たとえ絞り値が同じでも、レンズが広角ならボケが圧縮されて小さくなったように見え、逆に、レンズが望遠ならボケが拡大されて大きくなったように見えます。
ボケを目立たせたくない場合は広角レンズを、ボケをより大きく強調したい場合は望遠系のレンズを使用します。
作例:広角レンズ18mm絞りF2.8、広角レンズのボケは絞り開放でも大きくは目立たない
データ:X-T1+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(F2.8,1/240,ISO400,18mm)
作例:望遠レンズは主役の前後を大きくぼかすことができる
データ:X-T1+XF50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F6.7,1/105,ISO400,230mm)
<作例>
今回の作例はいずれもX-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱで撮影したものです。
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F6.7,1/30,ISO1600,230mm)
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F6.7,1/220,ISO400,230mm)
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F10,1/125,ISO400,230mm)
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F14,1/15,ISO200,230mm)
データ:X-T1+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS Ⅱ(F8,1/450,ISO400,230mm)
まとめ・備考
いかがでしたでしょうか。まだまだ、説明したいことはたくさんありますが、ひと通り読んでいただければ「ボケ」のことがある程度は理解していただけると思いますので、今後の撮影にぜひお役立てください。それではまた・・・。
END